行灯と提灯

室町時代のころから使われはじめた照明器具に行灯(あんどん)と提灯(ちょうちん)があります。

行灯は、おもに菜種油を入れた石か陶製の皿に木綿など灯心を入れて、風で吹き消されないよう周りに竹や木、金属などで作られた立方体か円筒形の枠をつけて和紙を張ったものです。

明かりを灯し、紙などを通して周りを照らします。

はじめのころは外出の際に携行する持ち運び用の照明器具として使用されていましたが、江戸時代になり提灯が普及すると提灯に取って代わられ、行灯は室内に据えておく型のものが主流となりました。

行灯は油を燃やす照明器具ですが、提灯はろうそくを使います。

江戸時代のころの提灯は、円筒形の籠に障子紙を張った籠提灯でしたが、安土・桃山時代になると使用しないときには上下方向に折りたたむことのできる提灯が登場し、持ち運びに便利なので行灯に代わり外出用の照明器具として普及しました。

そして江戸時代の夜間照明は、室内では行灯、外出時には提灯を使うというスタイルがふつうだったそうです。

大正時代になり電灯が普及するようになると、照明器具としての行灯や提灯はすたれていき、いまでは提灯がお祭りや行事などで使用されているだけです。

行基図をつくったのは行基ではないという謎

日本で初めて正確な日本地図をつくった人物と言えば伊能忠敬を思い浮かべる人が多いでしょう。

伊能忠敬は江戸時代に大日本沿海輿地全図を完成させました。

しかし、じつは奈良時代の大僧正行基がつくった行基図と呼ばれる地図が日本地図の元祖と考えられているのです。

行基図は、五畿七道の諸国を楕円や円で記して、平安京から諸国への経路を記しています。

江戸時代までにつくられた日本地図は基本的にこの行基図が手本とされ、多くの書写も存在したといわれています。

ただし、当時に作成された行基図の原図は現存していません。

日本地図の始祖ともいわれる行基図ですが、実際に行基がつくったのかどうか定かではないとされています。

12世紀に書かれた行基の伝記にも地図作成のことが記されていませんし、ほかの資料からも不明なのです。

なによりも、地図に描かれた内容が行基の生きた奈良時代と一致しません。

奈良時代の都は平城京なので行基図も平城京を起点にされるはずですが、行基図の写しの多くが平安時代の都である平城京を起点としています。

この点から行基図は平安時代の作成ではないかと考える説が有力であり、よって行基のつくったものではないということになるのです。

言葉をまねるオウムと九官鳥の違い

ペットとして人気のオウムと九官鳥は、どちらも人間のしゃべった言葉などを真似ることができる鳥ということで似ています。

オウムや九官鳥がしゃべれるのは、舌の仕組みが人間と似ているからと言われています。

両者はほかの点ではずいぶん違いがあります。

オウムというのはオウム目オウム科の21種の鳥の総称で、大型で冠羽があり、赤や黄、青、白、黒など色鮮やかなものをふつうオウムと呼んでいます。

インコもものまねが上手ですがオウムと同じオウム目オウム科の鳥であり、冠羽がある大型種がオウムでそれ以外の小型がインコと呼ばれているのです。

オウムが食事をするときには食物を足でつかみ顔の前にもっていくなど愛嬌ある仕草をし、人にもよくなれることから、ペットとしてかわいがられます。

オウムの鳴き声は、日本では「おたけさん」と聞こえる人が多いですが、イギリスでは「プリティ・ポリー」(かわいいポリーちゃん)と聞こえるそうです。

九官鳥はスズメ目ムクドリ科の鳥であり、くちばしはオレンジ色、羽は目の後ろが黄色で風切の一部が白い以外は光沢のある黒色をしていて、オウムのようにきれいな色ではありません。

おしゃべりをする能力はオウムより九官鳥のほうが高いと言われています。

原子爆弾と水素爆弾

核兵器の種類を大きくわけると原子爆弾と水素爆弾があり、両者の違いは、核分裂反応のエネルギーを利用するのが原子爆弾、核融合反応のエネルギーを利用するのが水素爆弾といえます。

核分裂というのは、原子核に中性子が飛び込み原子核が中性子を吸収すると原子核が核分裂を起こし2つに分裂する現象のことを言い、2個か3個の中性子が放出されると連鎖反応で核分裂が次々と引き起こされます。

核分裂により得られるエネルギーは巨大であり、ウランまたはプルトニウム10キログラムでTNT 爆薬2万トン相当の大爆発となります。

原子爆弾はウラン235またはプルトニウム239の核分裂により巨大なエネルギーを引き出します。

水素爆弾は、重水素または三重水素の原子が互いに融合しヘリウム原子をつくるときに放出されるエネルギーを利用したもので、太陽のエネルギーが核融合反応により生み出されることから、水素爆弾は人工の太陽のようなものです。

核融合反応は数千万度の高温でなければ起きないのですが、このような高温を作り出すことができるのは、いまのところ核分裂反応だけです。

そのため原子爆弾を起爆剤として、原子爆弾の爆発により核融合反応を引き起こす仕組みになっているのです。

原子と分子

物質を最小に分割していき、もうこれ以上は分割できないという最小単位の粒子となったとき、この物質を構成する最小単位である粒子を原子といいます。

原子をアトムともいいますが、ギリシャ語の「分割原子はできないもの」という意味です。

自然のなかに原子は92種類しかなく、人工的につくりだされた原子もあわせて百数種類ですが、その原子が結合してできるさまざまな物質は数百万種類にもなります。

これらの結合物質の性質は原子が結合し分子となって初めて現れてくるもので、もととなる原子の性質から予想することはできません。

原子と分子との違いは物理学と化学との違いにたとえることもできます。

物理学は物質の最小単位である原子を対象とし、自然界のすべてに通じる一般法則を求める学問です。

原子は物質の最小単位ですが、絶対にそれ以上小さく分けられないというものではなく、十分なエネルギーを与えると電子と陽子、中性子などに分解できることがわかっています。

そして原子、陽子、中性子など基本的な粒子を研究対象としているのが物理学です。

いっぽう化学では無数ともいえる物質のそれぞれの性質が問題となるので、物質の性質を決める分子を研究対象としています。